【はじめての社史づくり】豊富なバリエーションを活かした読まれる社史とは?

現代の社史制作は「読まれる社史づくり」が基本

2018年08月28日 13時03分

日本では、10周年や20周年と節目を迎えるときに多くの企業から社史が発刊されてきましたが、1960年代初頭まで、日本の社史は年表や事業内容を羅列して記述する形式が一般的でした。その後、1990年代初頭以前までは、経営史学会が結成されたのをきっかけに、経営史学者が企業の経営文書などの資料を基に社史が制作していた時代もありました。
日本の社史づくりはこのように時代の流れと共に大きな変化を遂げてきましたが、現在は前述した「社史の豊富なバリエーション」からも分かるように、社史制作は保管するための書籍としてではなく、社内外の多く方に『読まれる社史づくり』が基本となっています。
 
読まれる工夫がされた現代の社史
かつては、企業の年表や資料を残すための分厚い書籍を制作し、読まれなくても「残す」ことを目的に社史が制作されていました。しかし、現代の社史は、「読まれる」「見せる」ことを目的に閲覧者に分かりやすい社史づくりをしようという動きが一般化しています。
例えば、以前は活字がずらりと並んだ紙媒体が多く、外部の方向けに制作されるというよりは企業内向けに社史が制作されていましたが、今では、外部の方にも見てもらえるようなグラフやイラスト、写真、オリジナル企画などを挟み込むことで、目を引き、興味を持ってもらうための工夫を凝らした社史が多くなっています。
                             
  • 社員教育や外部に向けたPRツール
社史は、「社員教育」や「外部に向けたPRツール」として活用することができます。
社史制作を通じて、企業理念や将来的なビジョン、そして自社の強みを再認識することは企業内部の充実にも役立つ取り組みです。社史は、これまでの企業の歩みや教訓をもとに未来の経営に活かす取り組みにつなげられるほか、人材育成や教育、研修などにも活用することができます。
また、企業内部の充実のほか、社史を外部に向けたPRツールとして活用することができます。社員だけでなく、事業内容や企業の魅力、商品のこだわりなどを、社史を通じて紹介することで社外の方にも自社への理解を深めてもらうきっかけになります。
 
  • 閲覧者を飽きさせないアイデア満載の見せる社史
資料性の強い社史や会社案内タイプの社史など、企業の数だけさまざまな社史が存在します。現代における社史の主流と言えば、「閲覧者を飽きさせない」工夫やアイデア満載の“見せる社史”です。テキストが長く連なった社史でも、時おりグラフや画像、写真、WEBタイプの社史であれば動画やCGグラフィックを効果的に挟むことで閲覧者の興味をより高め、目を引く仕掛けを盛り込むことができます。
 

今回紹介したように、社史の形は一つだけではありません。最近の社史は以前からよく制作されている書籍タイプをはじめ、電子媒体タイプやWEBタイプなどバリエーションが増え、制作側の選択肢も大きく広がっています。表現力を最大限発揮して手に取りたくなる社史づくりを意識することで、社員や関係者はもちろん、外部の取引先の方々やお客さまからの関心を集め、ただ保管するための社史ではなく、多くの方に「読まれる社史づくり」を行うことができるはずです。